There's an echo in my head

日々のメモ。

百田尚樹「海賊とよばれた男」を読んだ

上下巻で扱ったけど、あまりにおもしろくて一気に読んでしまった。鐵造さん気骨があって本当にかっこいい。

第二次大戦中の話とかも出てきて、いけいけドンドンな描写をされるとうへぇとなってしまう冷めた現代っ子な自分だけど、本当に面白かった。歴史の教科書だと同じ段落で扱われるようなポツダム宣言とサンフランシスコ講和条約だけど、その間には結構な時間があって、その間の統治機構であるGHQによって自由に商売ができないとか、とはいえ彼らも一枚岩ではなくてちゃんと日本を独立させようとした人もいたとか、結果だけじゃわからない話があってとても面白かった。

国岡商店の店員、働きすぎ。明治〜昭和の小説とか読むとこの時代の人は猛烈に勤勉に見えてさすがに信じがたいんだけど、生産調整を無視してフルで生産するぞと号令をかけたときに店員が喜んで製油所を動かしだした話を読んだときに羨ましいなと思った。給料だけが目的だったら生産調整をかけられて仕事しなくていいほうが得なんだけど、やっぱそれはつまらないし。これは自分がやらなければいけない、やりたいってものがあるのはとても素晴らしいな。

石油連盟脱退の話はほんともう痛快。イランに秘密裏にタンカーをまわす話も大好き。

あと、鐵造さんもだけど、銀行家の頭取クラスの人の決断がとても速い。必要だと、価値があると思ったらポンと融資する。「融資ができることを誇りに思う」とか言う。融資っていうとどうしても銀行家が上のイメージでいたから、こういうこともあるのかと感動した。

それでいうとアメリカ人も面白い。石油メジャーが国岡商店を潰そうとしてるのに、バンク・オブ・アメリカは大金を融資する。製油所建設会社も本気で設計する。ビジネスとなったときの国内のしがらみが少ない。契約ベースだからかなぁ。

面白いなぁ。鐵造さんも、それを見出して支え続けた日田さんも。あそこの店員のようにスタンドアローンで動けるのは本当に優秀だからなんだろうけど、でもああやって働けるのは羨ましい。

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